経済学部の現況

(又信東京50号より)




香川大学経済学部長
藤井 宏史
この十月から学部長として二期目を務めることになりました。引き続き、宜しくお願いいたします。以下では、この一年間の大学と学部の近況を報告させていただきます。

まずは大学の改組計画の進捗状況です。改組計画は、①新学部の創設、②教育研究組織と教員組織の分離、③大学院の再編の三つの柱から構成されています。このうち大きな動きがあったのは①と②です。

①の新学部としては、経済学部の地域社会システム学科と教育学部の人間発達環境課程の教員を中心に地域の人文社会的な教育ニーズに対する受け皿として教養学部が構想され、平成二十四年度実現に向けて一昨年から検討が進められてきました。ところが、今年になって文科省から、新学部は地域のニーズや特色を示す「専門学部」であることが必須との条件が示されたため、専門学部として構想しなおすことを余儀なくされ、その行方は十月に就任された長尾新学長の手に委ねられることになりました。

②は、学内の人的教育資源を効率的に管理し、学部の垣根を低くして教育ニーズの変化に柔軟に対応するために、教育研究組織である「学部」から教員を切り離して研究分野ごとの「研究院」に所属させることを意味し、この四月から実施に移されました。その結果、各学部の教員は、アーツ・サイエンス研究院、教育学研究院、法学研究院、経済学研究院、医学研究院、工学研究院、農学研究院の七つの研究院に所属することになりました。経済学部担当教員の場合、経済・経営分野の教員が地域マネジメント研究科教員とともに経済学研究院に所属し、残る人文社会分野の教員はアーツ・サイエンス研究院に所属することになりました。この制度は、教員の学部への帰属意識を低下させたり、組織運営コストを増大させるといった負の側面を持っていますので、いつまで続くか分かりませんが、当分の間は、この制度を利用して地域マネジメント研究科と連携を深めてゆこうと考えています。

次に平成二十二年度の就職状況です。卒業生三百三十名のうち進学者が四名、就職希望者が三百一名で、そのうち就職した者が二百八十名でしたので就職率は九十三・〇%になりました。業種先別では、金融・保険業が二十八・六%と相変わらず高く、続いて公務員十五・四%、卸売・小売業十二・八%となっています。規模別就職先では、大企業が四十二・八%を占めています。就職先所在地では、香川・岡山が百三十四名で三分の二を占め、次いで関東四十一名、近畿二十五名と続きます。

全体としてみますと、就職戦線が厳しくなるなかで就職実績では健闘しています。実際、今年の就職率ランキングは昨年よりは多少落ちましたが、全国の経済系学部で十二位(『サンデー毎日』二〇一一年八月七日号)、国公立大学の同系学部で七位(『就職に強い大学二〇一二年』読売新聞社、二〇一一年七月二十九日発行)と、依然として高い順位を維持しています。

最近の全国的な就職戦線の報道から考えますと、今年の就職状況は楽観できません。今まで以上に学部としても就職支援を強化する予定でおりますが、又信会の皆様方におかれましても引き続きご支援の程、よろしくお願いいたします。